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弁護士 野中法律事務所 八王子:相続・遺産分割:配偶者居住権


【配偶者居住権と配偶者短期居住権(概要)】


 高齢化に伴い、相続開始時の配偶者の年齢も高くなっていることから、
その居住権を保護するために、配偶者居住権と配偶者短期居住権の制度が
が創設されました。
   
配偶者居住権と配偶者短期居住権
   配偶者居住権 配偶者短期居住権
成立要件 @ 配偶者が、相続開始時に、被相続人所有の建物に居住していたこと
 ・内縁の配偶者は含まれない。
 ・生活の本拠にしていたこと。
 
A 建物が、被相続人の単独所有又は配偶者と二人の共有

B 配偶者に配偶者居住権を取得させる旨の
   遺産分割・遺贈・死因贈与がされたこと。
  *「相続させる旨の遺言」ではだめ。
 一定の要件を満たせば、法律上当然に配偶者短期居住権を取得する。

@ 配偶者であること。
 ・相続放棄をした配偶者は含まれる。

 ・相続欠格、相続廃除の配偶者、内縁の配偶者は含まれない。

A 相続開始時に被相続人所有建物に無償で居住していたこと。
法的性質 法的性質
(1) 帰属上の一身専属権:譲渡できない。相続の対象とならない。

  賃借権類似の法定債権

(2) 遺産分割で配偶者居住権を取得した場合
・その財産的価値相当額を相続したものとして扱われる。 
→ 他の財産の取り分が減ることになる。 

遺贈・死因贈与で配偶者居住権を取得した場合
・特別受益に該当し得る。
 遺贈について持戻し免除の意思表示の推定
*民法903条4項の準用に注意 
法的性質
 (1) 帰属上の一身専属権:譲渡できない。相続の対象とならない。

  使用借権類似の法定債権

 (2) 遺産分割で、配偶者の具体的相続分から、配偶者短期居住権の 財産的価値を控除する必要はない。 






存続期間 存続期間
 原則:終身

 例外:遺産分割協議・遺言・家裁の審判
で定めた期間。





存続期間(最低6ヶ月)
(1) 配偶者を含む共同相続人間で遺産分割をすべき場合
ア 遺産分割により、建物の帰属が確定した日
イ 相続開始の日から6ヶ月を経過する日
 ア・イのいずれか遅い日

(2) (1)以外の場合
建物取得者が、消滅申し入れをした日から6ヶ月を経過する日
配偶者・建物所有者間の法律関係 配偶者と建物所有者との間の法律関係
 (1) 建物の使用収益
居住建物全部を無償で使用収益できる。

 (2) 用法遵守義務・善管注意義務

 (3) 譲渡禁止

 (4) 無断増改築の禁止
    無断で第三者に使用収益させること

 (5) 修繕

 (6) 費用負担:通常の必要費を負担する。 

 (7) 登記請求権がある。
配偶者と建物所有者との間の法律関係
 (1) 建物の使用
一部を無償で使用していた場合は、その部分のみ

 (2) 用法遵守義務・善管注意義務

 (3) 譲渡禁止

 (4) 無断増改築の禁止
    無断で第三者に使用させること

 (5) 修繕

 (6) 費用負担:通常の必要費を負担する。 

 (7) 登記請求権はない。


* 持戻し免除の意思表示の推定(民法903条4項)
 
婚姻期間が20年以上である夫婦の一方が他方に対し、その居住用不動産を
遺贈又は贈与した場合については、
  ↓ 
原則として、計算上遺産の先渡し(特別受益)として取り扱わなくてよいとしました。

 これにより、配偶者は、遺産の分割で、より多くの財産を取得することができるため、
遺贈等の趣旨(残された配偶者の老後の生活保障)に沿うことができます。

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