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弁護士 野中法律事務所 八王子:建物賃貸借
建物賃貸借に関して、サブリースについて相談があります。
・サブリースとはどういうことですか。
・サブリースのメリットは何ですか。
・サブリースの問題点は何ですか。
・サブリース契約をするときの注意点は何ですか。
それぞれについて、考え方や法的な手続きの概要を紹介します。
A
1 サブリースという言葉は、又貸し、転貸のことを意味していますが、
建物賃貸借においては、およそ次のような内容で使われています。
建物所有者(オーナー)が、賃貸住宅管理業者(サブリース業者)に対して、
建物を転貸目的で賃貸し(特定賃貸借契約・マスターリース契約)、
その管理業者が転貸人となって入居者(転借人)に転貸する(転貸借契約)
という賃貸住宅管理の形態。
2 一括借り上げ:賃貸住宅管理業者が、オーナー所有の建物を一棟丸ごと借りること。
*サブリースと同じように使われますが、サブリースは一棟丸ごととは限りません。
3 次のような使われ方もあります。
マスターリース:オーナーと賃貸住宅管理業者(サブリース業者)との賃貸借契約
サブリース:管理業者と入居者(転借人)との転貸借契約
◎ 「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が制定され、サブリース業者と
所有者との間の賃貸借契約の適正化に係る措置が導入されました。2020年
そこでは、マスターリース契約について、およそ次のように定義しています。
「特定賃貸借契約」:賃貸借契約であって、賃借人が第三者に転貸する事業を
営むことを目的として締結されるもの
そこでは、サブリース業者のことを「特定転貸事業者」と定義しています。
◎「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」
に基づいて、サブリース方式による契約の
適正化が図られています。
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A
1 家賃が保証されます。
入居者が家賃を滞納したり、入居者が見つからない場合でも、毎月決まった家賃収入があります。
一般的な相場として、満室時の家賃収入の80〜90パーセントが保証されるといいます。
↓↑
「実際入居者が支払う家賃」と「オーナーから借り上げる家賃」との差額は10〜20%程度
2 入居者との対応をしなくて済みます。
例えば、入居者のクレーム ・騒音被害の苦情 ・ごみの処理 などは
サブリース業者が対応してくれます。
3 修繕の対応
入居者が退去するたびに、室内の修繕が発生することがあります。
転貸するために必要として行う修繕は、サブリース業者が行うことになります。
修繕に係る費用負担は、契約であらかじめオーナーとサブリース業者の負担部分を
協議して決めておくことになります。
4 入居者の退去時の対応をしなくて済みます。
原状回復の問題、敷金の清算等
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・
A
1 賃料が減額されるリスクがあります。
普通賃貸借契約では、借主からの借賃減額請求が可能であることから
家賃保証がうたわれていても、入居状況の悪化や近隣の家賃相場の下落により、
賃料が減額される可能性があります。
最高裁第1小法廷判決:平成15年10月23日
では
・いわゆるサブリース契約で賃料保証特約がある場合でも、保証賃料額からの減額請求が
可能としています。
・賃料減額請求の当否や相当賃料額を判断するに当たっては、
賃貸借契約の当事者が賃料額決定の要素とした事情を総合考慮すべきであり、
特に賃料保証特約の存在や保証賃料額が決定された事情をも考慮すべきであるとしました。
2 建物管理、修繕などについて
サブリース業者が指定した割高な業者、仕様となるおそれがあります。
3 契約期間中でも、賃料改定で合意できない場合などで、中途解約されるリスクがあります。
30年一括借り上げなどとされていても、契約書中にサブリース業者から解約することができる
旨の規定があるときは、契約期間中でも解約されるリスクがあります。
4 サブリース業者が倒産した場合
・ 入居者から預かっている敷金の回収ができなくなるおそれがあります。
・ 入居者が倒産後も、サブリース業者の口座に入金し続けるおそれがあります。
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サブリース契約をするときの注意点は何ですか。
1 家賃保証について
30年家賃保証などとうたっていても、賃料の減額請求は可能です。
将来の賃料の変動の条件などについて、サブリース業者からしっかりと説明をしてもらいましょう。
2 解約のリスクについて
契約書にサブリース業者から解約することができる旨の規定があるときは、契約期間中でも
解約される可能性があります。
↓
オーナーとしては、長期の事業計画を踏まえて判断していることから、サブリース業者から
契約期間中は解約することができないようにするなど十分に協議することです。
いずれにしても、オーナーとしては、業者など他人任せにしないで、自分が主体的に賃貸事業に
取り組んでいくことが大切です。
* 国土交通省が賃貸住宅管理業やサブリース業の所管で、
◎「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」
(法律の概要)
に基づいて、
・ 標準契約書
・ ガイドライン概要
・ ガイドライン詳細
が公表されています。
法律では「誇大広告・虚偽広告の禁止」や「不当な勧誘や契約解除を妨げる行為の禁止」が
定められていますが、ガイドラインではそれらの具体例が示されています。
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